2025年度法改正 木造住宅で構造計算が必要な範囲

2025年4月1日から建築基準法6条において4号建築が
新3号と新2号に分かれます。
新3号と新2号それぞれがどのような規模なのかは下記の記事を参考にしてみてください。

2025年3月31日までは木造の4号建築はいわゆる構造計算が不要でした。
これが法改正で四号建築が新3号と新2号に分かれた後、
構造計算をしなければならない範囲はどのように変更されたのか
特に木造建築物の構造設計に関わる部分を整理していきたいと思います。
構造計算とは
まず、法令の中で指す「構造計算」という言葉ですが、
特に下記のことを指しています。
- 保有水平耐力計算
- 限界耐力計算
- 許容応力度等計算
ただ、細かいことをいうと、屋根ふき材等の構造計算などもあります。
ちなみに許容応力度計算とは建築基準法施行令第82条(保有水平耐力)における
第一号から第三号までに構成される計算方法を指しています。

実は法令的には許容応力度計算(等が抜けてる)という単語は登場しません。
とはいえ、実質的に許容応力度計算も構造計算のうちでしょう。
「建築物の構造関係技術基準解説書(いわゆる黄色本)」に上記のように定義されています。
上記①~③の計算はいずれも一次設計と二次設計の2段階で計算されます。
- 一次設計:構造計算すべてに適用され、許容応力度計算や屋根ふき材の計算を指す。長期荷重や稀に起きる荷重・外力に対して損傷が生じないことを確認する。
- 二次設計:一次設計以外に追加で行われる計算で大地震に対し崩壊・倒壊しないことを目的とした計算。

仕様規定と耐久性関係規定
建築物は基本的に前述のいずれかの構造計算と、建物の種別ごとに適用される構造方法を以て安全性を確認します。
このRC造や木造などの構造種別ごとに適用される構造方法を仕様規定といいます。
仕様規定は前述の構造計算によって安全性を確かめることにより代替できる規定と、
構造計算の有無に関わらず守らなくてはならない規定があり、
後者のことを耐久性関係規定といいます。

木造の新2号建築物が必要な構造計算
2025年4月1日から4号建築が下図のように新3号と新2号に分かれます。

木造建築における建築確認審査対象の建築物の規模(都市計画区域)
上記にともない、構造計算対象範囲が変わりますが、新3号建築物はこれまでの旧4号建築物と同様に仕様規定のみで申請可能です。
一方新2号建築物ですが、結論からいうと
- 300㎡までは仕様規定でOK
- 300超もしくは3階建て以上は簡易な構造計算(許容応力度計算)が必要
となります。
許容応力度計算というのはつまり耐震計算ルート1を指します。
構造計算対象範囲の変更は下図のようになります。
耐震計算ルートはざっくりいうと
簡易な構造計算がルート1、高度な構造計算がルート2やルート3に該当します。

引用元:国土交通省

軒高9mの制限がなくなった点は規制緩和と言えるかもしれませんが、延床面積は500㎡→300㎡になりました
注意する点としては、
上記の構造計算の対象範囲は木造の場合であること。
鉄骨造やRC造の場合は下記になります。
- 仕様規定 新3号建築物等(鉄骨造、RC造共通)
- 簡易な構造計算 1号建築物、新2号建築物(鉄骨造、RC造共通)
- 高度な構造計算 鉄骨造:4階以上・RC造:高さ20m以上
簡易な構造計算は許容応力度計算、
高度な構造計算は上の表中緑の範囲内に記載の計算です。
まとめ
2025年度4月1日から施行される法改正で建築業界では下記の懸念をよく聞きます。
- 構造計算先の当てがあるか
- 審査項目増加による確認審査の長期化と費用の割増
①については構造計算をプレカット会社が担う話を聞きます。
②については民間の審査機関では
これまで木造の四号特例で構造計算してこなかった範囲について、
法改正後ではオプション料金を取る機関もあるそうです。
実質的な料金アップですね。
構造だけでなく省エネ適判もあり、
2025年度は多少なりとも混乱が起こりそうですが、
一方で施主にとってはそんなこと関係ありません(というか、施主にはわかりません)。
滞りなく引き渡しができるよう、備えておきましょう。